2015/04/28

無茶をする。

別ブログから。

何年経っても外国語試験や外国語学習教材をふらふら追い掛け回している人を見ると「果たしてこの人が外国語を使う日はやってくるのだろうか」と虚しい気分になる。

こういう意見は如何にも一般受けしないというのはわかっているが,多少なりともまともに外国語に取り組みたいのであれば,学習初期に「的を絞って無茶をする」戦略は常に有力な選択肢として挙げられると思う。

数ヶ月間狂ったように単語暗記に取り組んで10,000語(WF)程身に付けてしまうだとか,定評ある文法書を1日掛けて読み通してしまうだとか,学習初期に発音の基礎をひと通り身に付けてしまうだとか,この辺りはどうせ避けられない道なのだからさっさと乗り越えてしまった方がよい。

憶えるべきものを憶えてしまえばもう試験がどうこうとか,そういうレベルではなくなっている(逆に言えば,いつまで経っても試験云々から卒業できないのは,憶えるべきものを怠け心で憶えようとしないから)。

学習初期にこうした宿題を済ませ外国語使用者の仲間入りをすると,複利運用よろしくその後の学習の効率性が飛躍的に向上する。

外国語は外から突っつき回していてもだめ。

今日から「無茶」を始めましょう。


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2015/04/25

TOEIC単語は戦略的に最短距離での攻略を目指そう。


1. 敵を知る:たった3,714語憶えれば900点は取れる

様々なサイトでTOEIC攻略に必要な単語数は5,000だ10,000だと思い思いの数字が挙げられていますが,TOEICを主催しているETS (Educational Testing Service) 自身がちゃんと分析結果を出しているんですよね。

こういう公式見解は大事にしなくてはいけません。

(以下,"Utilizing the British National Corpus to Analyze TOEIC Tests: The Quantification of Vocabulary-Usage Levels and the Extraction of Characteristically Used Words"より引用)

5種のTOEIC公式問題に使用されている語彙の95%を理解するには、平均で、BNC HFWLに含まれている上位3,714語の知識が必要である。

(引用終わり)

上記の引用について簡単に補足説明をすると,まず95%という数字については,文章の内容理解には95%の単語(20語中19語)の知識が必要であるという考え方を採用しています。

つまり,95%わかれば残りの5%は文脈なんかから推測できるし問題も解けるでしょ,ということです。

次に「BNC HFWL」についてですが,BNCというのはThe British National Corpusの略で,簡単に言うと英語を代表する書き言葉や話し言葉の膨大なデータ集(コーパス)のことです。その数なんと1億語超。

で,そのうち頻出度が高い語をリスト化したものがBNC HFWL (High Frequency Word Listsかな?) です。

最後に「3,714」という数字についてですが,これはWord Family (以下WF) 基準での数え方であることに注意が必要です。

WF基準だと活用語や派生語もひっくるめて1語と数えます。

つまり,actもactiveもactingもactivityも(4語ではなく)1語とカウントするということですね。

語彙を語る際に人によって数字がばらけるのも,このWFで数えているかどうかという部分が大きいです。

いずれにせよ皆さんは「頻出の3,714WFのうち,未習得分を憶えればよい」のだと考えておいておください。

2. 3,714語をカバーする単語集を入手する

このブログでは『TOEFLテスト英単語 3,800』か『究極の英単語 SVL』のいずれかをお薦めしています(当然他にも有効な単語集はあるのでしょうが,私自身が使ったことがないものはご紹介できません)。

前者であればRank 1と2を,後者であればVol. 1と2をまずは完璧にし,更に取りこぼしをなくしたい人はその先に進みましょう。

中学・高校とそれなりに真面目に英語を勉強していた場合,『3800』のRank 1や『SVL』のVol. 1には既知の単語がかなりあるはずですから,厳選された3,714語から更に憶えるべき単語が絞られます。

TOEIC単語,恐るるに足らず,です。




3. 学習戦略を立てる

さて,肝心の憶え方ですが……正直細かな方法についてはあまり神経質に考える必要はないかな,と思っています。

というのも,TOEIC学習上暗記すべき単語は比較的平易かつ日常的なもので,(特に今までの勉強を頑張ってきた人にとっては)数もそこまで多くないため,多少の無理が効いてしまうのです。

よって,以下のような最低限のポイントを把握した上で,好みの方法で憶えればよいと思います。

  • 復習が鍵であると知ること:あなたが特異な頭脳の持ち主であるなら話は別ですが,基本的に単語は復習して憶えるものです。

  • 効率的な復習スケジュールを立てること:お馴染みの忘却曲線云々というあれです(参考:「エビングハウスの忘却曲線」に学ぶ、劇的!記憶力アップ術)。

  • 継続できるやり方を採用すること:復習が大事なので,一夜漬け的な方法は✕。少なくとも2, 3ヶ月は継続できる方法が好ましいです。

  • 綴りや意味だけでなく発音も確認すること:これは試験のリスニング上も大切なのはもちろんのこと,今後の英語学習上も極めて重要です。できれば発音記号を読めるようになりましょう。これについては別エントリーで。

4. 学習戦略のサンプルとヒント

とはいえ,「それでは各自好みの方法で勉強してください」ではあまりにも不親切なので,TOEIC単語暗記上のtipsをいくつかご紹介しておきます。

AnkiなどのSRSを活用する

自分で復習スケジュールを組むのが面倒だという人はAnkiPDIC, SuperMemoなどのSRS (Spaced Repetition Software) を利用すると便利です。

SRSはCOCA60k消化やアンチバベルの党建設などの狂気の戦いに臨む際に素晴らしい力を発揮するのですが(何のことかわからない方は今は気になさらずに),TOEIC学習でもちゃんと役に立ちます。

普段の暗記作業&編集用はノートパソコンで,移動中の暗記作業はスマートフォンやタブレットで,などと使い分けると飛躍的に暗記効率が上がります。

辞書データなどを用いて一気に全単語を流し込むのもありですが,基本的にはその日の学習でつまづいた単語をコツコツ手作業で入力・復習してゆくとよいと思います。

付属音声を十二分に活用する(SVLの場合は別売り)

単語の発音を把握していれば,音を聴くだけでもかなりの復習になります。

スマートフォンやタブレットも操作できない移動中や運動中,単純作業中などは勉強した単語をおさらいしましょう。

SVLの場合は音声が別売りなので,下記の教材を用いるかiTunesで音声データをダウンロードするとよいです。




5. TOEIC公式問題集記載の単語の消化

TOEICの語彙対策は上記単語集のいずれかと公式問題集だけで行います。

公式問題集は一切の取りこぼしが無くなるよう徹底的に復習することになりますが,その際,未知の単語や誤った単語はSRSなりノートなりにしっかり記録してゆきます。

公式問題集周りの作業についてはまた別エントリーで触れることにしましょう。


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2015/04/24

英語達人列伝


私がTOEICの学習を始めた頃「まずはモチベーションを高めることから始めなくては!」などと考えて,英語達人たちの本を読んだり自己啓発本を読んだりしていました。

で,すっかり勉強した気になって,その日の「学習」を終えて眠りにつく,という日々を続けました(笑)

つべこべ言わずにさっさと具体的な勉強を始めればいいんですよね。

ところで,先程本棚の整理をしていたらその時期に読んでいたと思われる本が1冊出てきました。

英語学習者の間では結構有名な本ですね。

この書籍では新渡戸稲造や岡倉天心,斎藤秀三郎ら近代の英語達人の英語力や英語に対する圧倒的な熱意を象徴するエピソードの数々を紹介しており,やる気を奮い立たせる言葉が溢れています。

「スコットという優れた教師の手引きもあって、彼は英作文と英文学読解を熱心に修業した。このころ身についた多読の習慣は、のちに彼の眼病を誘発したほどである」p.14

「斎藤の場合、その才能もさることながら、勉強量が尋常ではなかった。工部大学校在学中、彼は図書館にあった英書を読みつくし、『大英百科字典』(全三十五巻の第一〇版ブリタニカ百科事典のことだと思われる)を二度読んだという」p.60

「中学時代に英語に異常なほどの興味を抱き、「英語屋」のあだ名で呼ばれた西脇順三郎は、英国人と完全に同じくなるほど英語に熟達することを目的とし、すべての時間を語学の修得に費やした。『ナショナル・リーダー』を丸暗記し、英語でノートを取り、そして、どこを聞いてもわからないところがないほどまで『井上英和』を読み込んだ」p.202

……なんかこう,身体の中からふつふつと湧き上がってくるものがありますよね。

ところで,こんな本を紹介しておきながら,私は過去の英語学習者たちの語学力を詳細に検証することなく,むやみやたらに達人だ偉人だともてはやす風潮が好きではありません(※)。

数年前もtwitter上で「私の師匠の◯◯先生は母語話者顔負けの英語力で,発音は完璧(?),話し言葉に文法的誤りは皆無,日系アメリカ人に間違えられることもしばしばだった。それに比べて現代の学習者たちの体たらくぶりときたら……(以下略)」みたいなことを書いている人がいました。

それは凄い人がいたものだなあなんて思っていたのですが,後になってYouTubeに「先生」ご本人の肉声を聴ける動画がアップされているのを発見し視聴してみると……

いやいやいや,思いっ切り日本人英語じゃん……

資料があまり残っておらず語学力の検証が難しい過去の「達人」たちのエピソードは何かと誇張・美化されるきらいがあります。

一方で,これだけ各種メディアが発達した現代では何もかもオープンになり,「得体の知れない凄さ」を演出し難くなりました。

確かに昔と違い猫も杓子も英語を勉強する今日,学習者の平均レベルが下がっていても不思議ではありません。

しかし,中にはこの恵まれた英語学習環境をフル活用して素晴らしい(それこそ過去の「達人」たち顔負けの)語学力を身に付けている人々も当然いるのです。

私たちが参考にすべきはそうした人々の英語への取り組み方ではないでしょうか?

でも,『英語達人列伝』はお薦めですよ!

※上記の本の登場人物を揶揄しているわけではありません。彼らは実際素晴らしい学習者達だと思います。


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2015/04/23

未来を生きる英語学習者達


Skypeを立ち上げればネイティブ・スピーカーと会話ができ,YouTubeでは世界の一流大学の講義を含め日々無数の英語動画がアップロードされ, Amazon.comで電子書籍を買えばKindle Cloud ReaderやiPadですぐに洋書が読め,ニュースサイトに行けば世界中の人々と最新ニュースについて侃々諤々と意見を交わすこともできる……

タイムマシンに乗って時を遡り,テレビもインターネットも無い時代の外国語学習者達にこんな「未来の世界」の話をしたら,きっと彼らは興奮し切った様子でこう言うでしょう。

「ああなんてことだ!まるで夢の世界じゃないか!さぞかし未来の世界の住人達は流暢に外国語を操るのだろうね!」……

さて「未来の世界」の住人であるあなたは彼らになんと答えますか?

このご時世,ネット環境さえあれば誰でも超大量の良質な生の素材に触れることができるようになり,今や学習環境はほとんど問題にならなくなりました。

「1冊しかない貴重な辞書の周囲に3人も4人も塾生が集まり寝食も忘れて書物を読み耽る」時代はもう遠い過去のことです。

これだけ学習環境が改善されたにもかかわらず,今もなお英語学習に四苦八苦する人が多いのは何故なのでしょうか?

様々な理由が考えられますが,私は多くの学習者がTOEICを始めとする試験英語一辺倒になっていることが大きな原因の一つになっているのではないかと思います。

本当は短期で攻略できるはずのTOEICのような試験を過大評価し,その攻略にだらだらと時間を掛けさせようとする試験・資格業界。

そうした試験で優秀な成績を残したにもかかわらず,思うように英語力が伸びずやり切れない思いの学習者達(そして,周囲の人達からは「英語ができる人」扱い)。

このような状況は何かおかしいと思います。

「未来」を生きる私達の目の前には無数の選択肢が用意されているのに。


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2015/04/20

ポリグロット(多言語話者)の世界【2】Steve Kaufmann

(Steve氏がYouTubeへの投稿を始めた2007年頃の動画。2015年現在,彼の学習言語数は15に達している)

今回はカナダ人ポリグロットであり,熱心なYouTuberでもあるSteve Kaufmann氏をご紹介します。

▽古希を迎える今もなお活力溢れる元外交官のLanguage Lover

モントリオールで育った彼は名門マギル大学在学中,ある先生と出会ったことにより外国語学習(フランス語)に開眼,フランス屈指のエリート校パリ政治学院(Institut d'Etudes Politiques de Paris)にて3年間政治経済を学びつつ,フランス語能力をめきめきと伸ばしました。

卒業後は外交官として中国に赴任することが決まり,カナダ政府の支援のもと,香港にて1日10時間中国語(Mandarin Chinese)を集中学習する日々を送っていたのですが,中国の職場のクソな上司(曰く"complete jerk"!)に愛想を尽かした彼は「独学で日本語を習得するから日本へ赴任させてほしい」とカナダ政府へ願い出たのでした。

無事その申し出が受け入れられたはよいものの,時代は1960年代後半,中国では良質な日本語学習教材などなかなか手に入りません。

取り敢えず書店で見つけた教科書やテープを購入し学習を始めてはみたものの,その教材には日本語の挨拶として「お目にかかれて大変光栄に存じます」という表現が掲載されていたということですから,その苦労は想像に難くありません。

その一方で,彼は中国の日本大使館に勤める日本人と週2回のLanguage Exchangeを行っており,これが功を奏したそうです。

そして1971年に晴れて日本へ行くことになったSteve氏。実務をこなしつつListeningとReading中心の日本語学習を続けてゆく中で,彼の日本語能力は大幅に向上しました。

その後外交官を辞めてからは材木の輸出入ビジネスに従事することになりますが,その間も彼の外国語学習熱は治まるどころか年々高まってゆくばかり。

学習言語の数が10を少し超えた2007年頃,息子のMark氏と共にオンライン外国語学習サービスLingQ(リンク)を立ち上げることになり,2015年現在もLingQを利用した外国語学習に勤しんでいます。

▽外国語学習の3本柱

彼は外国語学習上最も重要な要素として以下の3つを挙げており,YouTube動画の中でも事ある毎にその重要性を訴えて続けています。

1. Attitude(態度)

彼は勝負の70%は学習者の態度によって決まるとし,学習者は以下のような態度を保つべきとしています。

  • 異文化に対する強い興味関心と,自らもその一部になりたいというオープンさ
  • 外国語を修得するという強い決意や自信
  • 完璧主義に陥らずに学習プロセスそのものを楽しむ姿勢
2. Time(時間)

また,外国語は一朝一夕で身に付くものではないため,以下の様な時間への配慮が決定的に重要になります。

  • 日々の学習時間を十分に確保しているか
  • その学習時間を効果的で楽しいものにしているか
  • 学習時間を短縮すべく,よい道具に投資をしているか(e.g. mp3プレーヤーやiPad, オンライン辞書など)
3. Ability to Notice(気づく力)

更に,学習者は惰性で学習するのではなく,学習言語で何が起こっているのかを鋭敏に感じ取るよう心掛けることが重要としています(e.g. 発音やイントネーション,文の構造など)。

そして,この気づく力を磨く有力な手段として,彼の学習法のトレードマークである大量のListeningやReading,母語話者によるWritingの添削,時折文法書を参照することなどを挙げています。

▽オンライン学習システム "LingQ"

彼は自らが主催する学習システムLingQを利用すれば上記のポイントを押さえた効果的な学習ができると主張しており,創業者である彼自身もこのサービスのヘビーユーザーです。

このLingQですが,何を隠そう私も数ヶ月間有料会員だった時期があり,かなりお世話になりました。これについてはまた別個に記事を書きたいと思っていますが,日本人英語学習者にもお勧めできるサービスです。

▽ポリグロット・コミュニティ屈指のYouTuber

このように精力溢れるSteve氏ですが,彼は熱心なYouTuberでもあり,LingQの宣伝も兼ねてこれまでに数百本もの動画をアップしています。

彼の外国語学習哲学について非常に聴き取りやすい英語で語っていますので,日本人英語学習者の教材としても最適ですよ。

彼のYouTubeチャンネルはこちらからどうぞ。



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ポリグロット(多言語話者)の世界【1】Tim Doner

今回ご紹介するのはNew York在住のTim Doner氏。

2012年に20ヶ国語を練習する動画をYouTubeにアップロードし,一躍有名人に。New York Times, BBC, The Economist他,数々の一流メディアから取り上げられた他,TEDのスピーカーにもなりました。

動画アップロード時は弱冠16歳だったティム君,外国語学習を始めたのが13歳の時だというのだから,更に衝撃的です。

13歳といえば多くの日本人が中学校で英語の学習を開始する時期ですが,それからたった3年後に20ヶ国語を話す様子を世界に向けて発信したわけで,彼の語学に対する打ち込みぶりがうかがえます。

さて,そんな人気者の彼ですが,熱狂する周囲の人々とは対照的に,自らの語学力を冷静に見つめています。

曰く,「本当の意味で話せるのは英語だけ。英語以外には4つか5つの言語がストレス無く話せて,他にも常に2〜4の言語を真剣に学習している。あとはあれこれ手を出してみているだけだよ」The Economist - Shrug like a Frenchman and frown like a Russian

「20ヶ国語をマスターしたティーン・エイジャー」などと喧伝されることには複雑な思いがあるようです。

実際(他のポリグロット達と同様に)彼の外国語の学習進度は言語により様々で,中にはまだまだ入門レベルのものもあるようです。

しかし,それがどうしたと言うのでしょう?

注目すべきは彼の語学に対する燃え上がるような情熱です。

「頭が柔らかい内に,できるだけたくさんの言語の基礎を身に付けたいんだ」と彼は言います。

言語を通じて未知の世界に触れるのが楽しくてたまらない。
そんな彼の姿勢が世界中の人々の心に火を付けたのでしょう。



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2015/04/19

ポリグロット(多言語話者)の世界【0】多言語話者は誰でもなれる?

(動画はカナダのTV番組16×9のポリグロット特集。YouTubeで人気のSteve Kaufmann氏,Tim Doner氏,Richard Simcott氏も出演している)

世の中には「ポリグロット」と呼ばれる人々がいます。

5ヶ国語も10ヶ国語も操る彼らは英語一つに苦しむ多くの日本人の目には別世界の生き物のように映るかもしれません。

いわゆる"YouTube Polyglots"達がもてはやされるようになってから数年経ちますが,今でも複数言語での自己紹介動画のようなものがアップされる度にちょっとした話題になることから,ポリグロットへの憧れを持つ人々は多いようです。

彼らは特別な脳の持ち主なのか?

それとも学習法に秘密が隠されているのか?

私達もポリグロットになることができるのか?

今後数回に分けて世界の多言語話者達を紹介しつつ,上記の謎を探ってゆきたいと思いますが,まずは以下のことを知っておいて損はありません。

▽各言語間の関連性が鍵

日本人が学習する外国語といえば,これはもう圧倒的に英語です。

長年の学校教育や自学自習を経てもなかなか思うように話せるようにならず,多くの人が苦手意識を抱いています。

もちろん教育の質や自学自習のやり方などの問題もありますが,基本的には英語は日本人にとってそれだけ習得が難しい言語なのです。

では他の外国語はどうなのでしょうか?

ついつい英語にばかり気を取られがちですが,当然ながら地球上には膨大な数の言語が存在します。

そしてその中には文字体系,文法体系,発音体系等の観点から,日本人にとって比較的習得が容易とされている外国語もあるのです。

韓国語やインドネシア語,トルコ語などがその代表例としてよく挙げられますね(参考:ディラ国際語学アカデミー「言語別の推奨学習時間数」)。

もちろん,外国語である以上,難易度が相対的に低いとは言ってもなかなか一筋縄ではいきませんが,例えば韓国語,インドネシア語,トルコ語,スワヒリ語を満足に使うことのできる日本人がいるとして……その人はもう何処へ行っても恥ずかしくない,ポリグロットですよね。

更に楽しいことには,そうして身に付けた外国語Aにも共通点が多い外国語Bが存在するであろうことです。

このように関連性の高い言語を一つ一つ習得してゆけば,私達がポリグロットになることも夢ではありません。

実際,多言語話者の中にもまずは母語と共通点の多い言語から学び始めたという人が少なくありません。

▽一つの言語での成功体験が支えになる

幼少期にバイリンガル環境で育ったような人は別として,多くの人にとって最も難しいのは第一外国語の習得でしょう。

果たして自分が満足に英語が話せるようになる日はやって来るのだろうか?と自らを信じ切れない人も多いと思います。

しかし,ひとたび外国語を身に付けるとその成功体験が自信となり,思うように語学力が伸びない時でもコツコツと学習を継続することができるようになります。

▽結局はモチベーションが大事

しかし,最後に物を言うのは何と言ってもモチベーションです。

学習言語の難易度がどうあれ強い動機付けがあれば前途洋々,外国語の海で泳ぎ続けることができるでしょう。

ポリグロット達に最も共通することは,皆が外国語を愛してやまない人々であるということなのかもしれません。

▽余談:英語と関連性の強い言語は?

とはいえ,このブログをご覧になっている方の大半は英語学習者だと思います。

では仮に皆さんが英語をかなり満足できる水準まで身に付けたとしたら,一体何が起こるのでしょうか?以下に興味深いデータがあります。

(以下,Wikibooks:Language Learning Difficulty for English Speakersより抜粋・和訳)

カテゴリー1: 英語と密接に関連する言語 23〜24週間(576〜600時間の授業)を要する

アフリカーンス語,カタルーニャ語,デンマーク語,オランダ語,フランス語,ガリシア語,イタリア語,ノルウェー語,ポルトガル語,ルーマニア語,スペイン語,スウェーデン語

(抜粋・和訳終わり)

上記はアメリカ国務省のForeign Service Instituteが1973年に発表した,アメリカ人のエリートさん達に対する外国語研修の成果に関する資料からの抜粋ですが,これによると英語の母語話者にとって上記11言語は習得が最も容易な部類に属するとのことです(正確には読み書きに関してGeneral Professional Proficiencyに達するまでに要する授業時間を算出している)。

つまり,私達が十分に英語力を磨き上げた暁には,比較的容易に習得できる外国語の選択肢が大幅に増えるということです。これは夢が広がりますね!

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2015/04/18

TOEIC攻略に掛かるお金はいくら?

2015年4月18日現在の数字で計算すると……
  • 受験3回,公式問題集3冊,TOEFL3800,文法書のケース:
    (5,725×3)+(3,024×3)+2,484+2,592=31,323

  • 受験3回,公式問題集3冊,SVL Vol. 1〜3,文法書のケース:
    (5,725×3)+(3,024×3)+(1,728×2)+1,944+2,592=34,239

  • 受験3回,公式問題集全冊,TOEFL3800,文法書のケース:
    (5,725×3)+(3,024×5)+700+2,484+2,592=38,071

  • 受験3回,公式問題集全冊,SVL Vol. 1〜3,文法書のケース:
    (5,725×3)+(3,024×5)+700+(1,728×2)+1,944+2,592=40,987

当然,受験回数を増やせば増やすほど費用はかさんでいきますし,より短期で攻略すれば時間もお金も節約できます。たかが試験,されど試験。気を引き締めていきましょう。



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リスニング学習前に知っておくべきよくある勘違い


▽「ゆっくりはっきりした教材から徐々にステップアップ」?

これは必ずしもリスニング学習法として誤りではありませんが,この方法だと上達速度がなかなか上がらなくなる恐れがあります。

というのも,一般に遅く読まれた英語と早く読まれた英語ではリエゾン(音の連結)やリダクション(音の脱落や弱化)等の発音の変化が生じるため,「ゆっくりはっきり英語」ばかり聴いていた人が高速英語に切り替えた時点で全く歯が立たなくなることがあるのです。

例えばゆっくりはっきり英語では一語一語しっかり "step on it" と聴こえるものでも,ナチュラルスピードでは「ステポニッ」としか聴こえないかもしれませんし,"finish it up" なんか「フェナシナッ」としか聴こえないかもしれません(笑)。

ナチュラルスピードの英語が聴き取れるようになるには,やはりナチュラルスピードの英語を教材として用いる必要があります。

一方で,高速英語を低速再生する学習法はリスニング・発音の学習上有効です。発音の省力化を学ぶことができるからです発音の省力化はとても重要な考え方なので,後日別の記事で触れたいと思います)。

例えばCNN English ExpressのAnderson Cooper 360の音声を0.5倍速で聴くなどしてみると,ネイティブスピーカーが如何に発音を省力化しているかがよくわかります。

まずこの省力化を知識として知り技能として身に付けなければ,いくら発音練習を積み重ねても早く滑らかに英語を話せるようにはなりません。

TOEICやオーディオブック等でしかリスニングを勉強してこなかった人は,ぜひ一度上記のような高速英語の低速再生を試してみてください。とても良い経験になります。


▽「低速英語の◯倍速再生に慣れれば高速英語にも対応できる」?

上記の理由から,これも誤りです。

一字一句はっきりと読まれた英語はどれだけ高速再生しようとも一字一句はっきりとしたままですので,ガンガン「発音の省力化」がなされるナチュラルスピードの英語を聴き取る練習にはなりません。

まあ時間の節約にはよいかもしれませんが……

続きはまた後日。

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英語学習者なら絶対に知っておくべき「最強のリスニング教材」とは?

(これはTOEIC学習法・英語学習法共通の記事です)

▽最強のリスニング教材は「聴き取れるようになりたい対象」そのもの

結論から書きましょう。

CNNをストレス無く視聴できるようになりたい人にとって,CNNこそが最強のリスニング教材です。

SitcomシリーズFriendsが字幕無しで理解できるようになりたい人にとって,FriendsのDVDが最強のリスニング教材です。

隣に住むアメリカ人の◯◯さんご夫妻とコミュニケーションが取れるようになりたい人にとって,◯◯さんご夫妻との会話の録音データこそが最強のリスニング教材です。

ここで言いたいことは2つ。万能のリスニング教材なんてものは存在しないということと,聴き取れるようになりたい対象そのものが最強のリスニング教材であるということです(超重要)。

▽最強のTOEICリスニング教材は公式問題集

私がアンチTOEIC式勉強法で特定のリスニング教材を紹介しない理由も,ここにあります。

公式問題集を買えば,本番と同じ声優さんが本番と同じ形式で吹き込んでくれた1.5時間分(45分×2)もの音声が手に入るではないですか!

新しいものから順に3冊分も揃えれば実に合計で4.5時間分。これを狂ったように何度も何度も聴いて聴いて聴きまくるのです。4.5時間分ものリスニング教材,他の教材に手を出している余裕なんかありません。

さて,精聴,シャドーイング,通学・通勤時や家事中の聴き流し,スクリプトの読み込み……様々な角度から切り込んでゆくと,問題文や解答を暗記してしまっている自分に気が付くでしょう。これはとても良い傾向です。

リスニングにしろリーディングにしろ,内容を暗記してしまうくらい徹底的に反復して「もういいよ……Mikeの都合が悪くなって,水曜14時のミーティングが木曜13時に変わったんでしょ……」などとうんざりするようになったとき,あなたの得点力は飛躍的に向上しています。

▽「聴き取れるようになりたい対象」そのものの教材化が難しい場合

教材化するには音声とスクリプトが必要ですが,残念ながらそれが難しい場合もあります。

冒頭の例だと,隣に住むアメリカ人の◯◯さんご夫妻のケースがそれですね。

わざわざ会話を録音させてもらって誰かに文字起こしを依頼するなんてのも気が引けますし。

このように「聴き取れるようになりたい対象」そのものの教材化が難しい場合には,次善の策で似たような教材を探すべきです。

お隣のご夫妻とはくだけた日常会話を交わす仲なのであればSitcomなどに優秀な教材を見出だせるかもしれません。

間違っても大統領就任演説なんかを教材としてはいけませんよ。

大事な事なので,最後にもう一度書いておきましょう。

聴き取れるようになりたい対象そのものが最強のリスニング教材である。よって,何にでも効く万能のリスニング教材などというものは存在しない。



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2015/04/17

教材あさりは百害あって一理無し!TOEIC攻略3点セットをご紹介

『TOEICテスト パート別対策……』

『TOEICテスト 600点からの……』

『TOEICテスト 3ヶ月で900点……』

書店の英語学習書コーナーに所狭しと積み重ねられたTOEIC関連書籍の山にはいつ見ても圧倒されます。

たかがTOEICに何たる騒ぎかと思わなくもありませんが,それだけTOEIC対策に関して頭を悩ませている方が多いのでしょう。

でも,皆さんは英語学習書コーナーに足を運ぶ必要はありません。

ネット上で新公式問題集,単語集,文法書の3点セットを入手したら,それで終わり。わざわざ学習者の不安を煽り立てる書店に出掛ける意味がありません。

900+を獲得するために必要なものは全て手元にあるのですから。

言うまでもないことですが,時間制約の下,教材の数が増えれば増える程,個々の教材のやり込み度は下がります。

上記3点セットを揃えて血肉にすれば危なげなく900+を獲得できたところ,不安感を煽られて徒に教材を買い集めた結果どれも未消化のまま終わるだなんて,虚し過ぎますよね。

これは大学受験や資格試験などにも通じることです。

学習初期段階では何かと敵を過大評価してしまい,次から次へと参考書を買い集めがちです。

必要な武器一式を揃えてやる気十分で学習を開始するものの,勉強を進めるに連れて何もかも中途半端にしか身に付いていないことに気が付き始め,不安と苛立ちの中,とうとう本番を迎える……結果は言うまでもないですね。

そして,そんな人々の横を所謂「短期合格者」達が猛スピードで追い抜いてゆくのです。

私も某難関国家試験を受けた経験があるのですが,多くの場合,短期合格者達は「学習当初から合格のために消化すべき教材を見極め,それだけを脇目もふらず徹底的に反復する」という点で共通していました。

彼ら彼女らは考えも無く書店に足を運び,惰性で目についた教材を買い足すなんてことはしません。自分がやるべきことを明確に理解しているからです。

なかなか思うように力が伸びず,不安になることもあるかもしれません。そんなときは一度深呼吸して,思い出しましょう。

足りないのは教材ではなく反復量なのだと。

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2015/04/16

やってはいけない!TOEICの趣味化で大幅遠回り

世の中にはTOEICを趣味とする人々がいます。

某掲示板上のTOEIC関連スレに入り浸ってみたり,個人ブログのサイドバー上に何年分もの受験記録を掲載してみたり,twitter上でTOEIC学習者同士交流してみたり(まあ必ずしも悪いこととは言えませんが)……

こうした行動をとっていると知らず知らずのうちにTOEICを肴にわいわいすること自体が目的・楽しみとなり,TOEICで目標点数を獲得するという当初の狙いがぼやけてきます。

皆さんの目標は効率的な試験対策により短期間(最長で半年)でTOEIC900+を獲得し,その後は綺麗さっぱりこの試験のことを忘れることだということを忘れてはいけません。

受験するのは3回まで,点数も右肩上がりしかありえない。少し厳しいですがその位の気持ちで挑んでください。

必要な対策が済んでいないのであれば,受験料や拘束時間の分,受けない(/申し込まない)方が幾分マシです。練習なんて公式問題集でいくらでもできるのですから。

勝算のあるときにだけ,戦いましょう。

必要な対策ができていれば,自分が900+取れることなんて受験前からわかるものです。

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2015/04/15

英語学習者の夢「ネイティブ並の英語力」とは?

私の目標はネイティブ並の英語を身に付けることです。

こんなことを書くと笑われてしまうかもしれませんね。

「ネイティブと言っても大人から子供,教養ある人からない人まで色々いるじゃないか。一体何をベンチマークにするって言うんだ?」

……なんて声が聞こえてきそうです。

お答えしましょう。私のベンチマークは私自身です。

言い換えると,自分の日本語力と同水準の英語力を身に付けることこそが,私の英語学習上の目標なのです。

私も試験の点数上だけは「上級者」に属するのでしょうし,取引先とのちょっとした商談はもちろんのこと,自分以外に英語話者しかいないホームパーティに参加して楽しいひと時を過ごす程度のことはまあできます。

それでも,私の日本語と英語は決定的に違うのです。

慣れない道具を扱っているような感覚とでも言いましょうか,常に英語というものを意識しながら英語を用いているような感覚に陥るのです。

こうした感覚を克服し,日本語も英語も私の身体と人格の一部になっているような水準を目指しているわけです。

では具体的にどうすればよいのか?これについては今後考えを綴ってゆきたいと思います。

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2015/04/14

「英語学習法」カテゴリを作りました!

TOEICやTOEFLを始めとする英語試験の類でどれだけ高得点を取っても自分の英語力に納得がいっていないという人は非常に多いです。

英語力不足をしっかり自覚している彼ら彼女らは,一方で世間から「ペラペラ」だとか「上級者」などと持て囃されることに強い違和感を覚えつつ(何がペラペラだよ!ペラペラなのはお前の頭だ!),更に実力を伸ばすべく自分なりの学習法を模索し,日々努力を積み重ねているのではないでしょうか。

何を隠そう,私もその一人なのです。

多読多聴,長文暗記,只管朗読(しかんろうどく),辞書暗記,COCA (Corpus of Contemporary American English) 暗記,シャドーイング,パターンプラクティス,オンライン英会話,Sitcom (Situation Comedy),留学……

効果的とされる学習法は数在れど,結局のところ何をどうすれば自分の理想に近づけるのかいまいちわからず,路頭に迷ってしまっている人も多いようです。

そこで,このカテゴリーでは現在進行形で一学習者である私が上記のような学習法を用いて試行錯誤した結果,少しずつ見えてきた事を共有してゆきます。

「真に有効な英語学習法とは?」

決まった答えのある問いではないのかもしれません。しかし,私の経験を共有することで他の英語学習者の一助になることができたら,それは素敵なことです。

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2015/04/09

短期で900点取れる人,取れない人の決定的な違いとは?

▽中学・高校レベルの英語が決定的に大事

厳密な統計を取ったわけではありませんが,TOEIC受験者達からの相談を受け続ける中ではっきりと浮かび上がってきたことの一つが,短期で成果を出せない人の多くが中学・高校時代の英語の内容を疎かにしてきている,ということです。

学校によって進度に差こそあれ,中学生や高校生の頃に度々課された単語テストや文法テストをコツコツ消化してきた人にとって,TOEICに備えて新たに学ぶべき内容は驚く程に少ないのです。

その証拠として,時間に余裕があり,かつ中学・高校時代の教科書類をお持ちの方はそれらを総動員してTOEICの模試なり問題集なりをじっくり自分のペースで解いてみてください。一部の難解な単語や熟語を除き,何処かで見たような内容ばかりの筈です(関係代名詞も分詞構文も仮定法過去もちゃんとやっています)。

真面目な学生時代を送ってきたという自負のある方はおめでとうございます。学生時代の復習もそこそこに,TOEIC用の語彙強化等と公式問題集中心の学習で早期に得点アップが望めるでしょう。

一方で,中学・高校時代の内容なんてさっぱり忘れてしまったという方,いや,そもそもまともに勉強していなかったという方は,TOEIC対策の前にやるべきことがあります。基礎単語と基礎文法の復習です(参考:アンチTOEIC式学習法)。

▽900+に必要な単語集はコレだけ

とはいえ,そこまで心配する必要はありません。貴方が真面目な学生だったかどうかに関わらず,使用すべき単語集や文法書は変わらないからです(つまり,学生時代の復習のために余計にあれこれ買い揃えなくて良いということです)。ただ,当初は同じテキスト内のより基礎の部分を集中的に消化するよう心掛ければ良いだけです。

では,学生時代の復習及びTOEIC対策のために,どんな参考書を揃えれば良いのでしょうか。今回は単語集をご紹介します。

▽TOEFLテスト英単語3800


先ずは『TOEFLテスト英単語3800』です。「いきなりTOEFLの参考書を紹介する奴があるか!」という突っ込みの声が聴こえてきそうですが……大丈夫です。TOEFL対策本として定評のあるこの単語集,TOEIC対策本としても十二分に通用します。

私は学生時代にTOEIC990点を取りましたが,使用した単語集はこの本1冊だけです。自信を持ってお薦めします。

TOEIC受験者の間では有名だった杉村太郎さんの本でも触れられていましたが,『TOEFLテスト英単語3800』ではRank1, 2を完璧にした上で,余裕があればRank 3を憶えてゆくと良いでしょう。音声付きなので移動中でも復習ができて大変便利です。


▽SVLシリーズ


次に,アルクの『究極の英単語』,通称SVL (Standard Vocabulary List)シリーズです。TOEIC学習者のみならず,英語学習者全般に大人気の超有名単語集ですね。私もTOEICやTOEFLの学習後,語彙に抜けが無いか確認するために使用しました(原則として自分で使用したものしか紹介しません)。

SVLシリーズにはVol. 1から4まであるのですが,普通に対策する分にはVol.1とVol. 2だけ,語彙に関して取りこぼしの無いよう万全を期したいという方はVol. 3まで消化すると良いでしょう。TOEIC900点を取るだけならVol. 4は少々行き過ぎです。

もっとも,Vol.1には非常に初歩的な単語が多く含まれているので学習の中心はVol. 2の3,000語になるでしょう。一方で,「中学・高校時代に勉強をさぼってしまった!」という方はVol. 1もしっかり消化することで問題無く追い付くことができる,というわけです。

なお,このSVLシリーズの音声は別売りです。以下を入手しても良いですし,iTunesでVol.毎に音声ファイルを購入することもできるようです。ただコスパを考えたらTOEFL3800の方が良いですね。



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2015/04/08

TOEICの勉強はTOEICの勉強!割り切れないとドツボにはまる。

TOEICといえど英語は英語,対策を進めてゆく内に「結果的に」英語能力が向上することもあるでしょう。

しかし,学習段階ではTOEICの勉強はTOEICの勉強と割り切り,何が何でも超効率的に高得点を毟り取るという鉄の意志を持たなければなりません(もちろん,そんな大袈裟に構えずともやるべきことをやればすんなり高得点を取れます……)。

こんなことを書くのも「TOEIC学習を通じてホンモノ英語を身に付けよう!」などという謳い文句で学習者達をTOEIC蟻地獄に引き摺りこもうとするTOEIC講師と呼ばれる人々が少なからずいるためです。

それどころか,大真面目に「試験対策は邪道。それでは真の英語力が反映されない」などとのたまう輩すらいます。

断言しますが,TOEICの学習段階で真の英語力云々などは一切考慮する必要がありません。

何でもかんでもTOEICを軸に考えるのは(一部の)TOEIC講師の悪癖であって,一学習者としての私達はそんなものに付き合う必要はないのです。

もちろん,一般に彼ら彼女らはTOEICを勉強し「続ける」人々からお金を貰って生活をしているわけですから(受験者数には限りがあるため,皆が皆短期攻略路線をひた走ると商売が成り立たなくなってしまう),やむを得ない部分もあるのかもしれません。

しかしながら,言うまでもなくTOEICはただの英語試験であり,それ以上でもそれ以下でもありません。そして試験を攻略するために必要なのは然るべき試験対策です。

ここで,「ホンモノ英語」だとか「真の英語力」だとか「グローバル人材としての必須英語」だとか,まあよくわかりませんが,とにかく余計な要素をあれこれ付け足すと学習姿勢がブレて,いつの間にやらとんでもない遠回りをする羽目になってしまいます。

試験は試験。短期で攻略してさっさとお別れすべきものなのです。

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サラリーマン必見!どうして昇進基準にTOEICを用いるのか?

一部の日本企業では昇進基準の一つとしてTOEICの点数が用いられているという話はよく聞きますが,好意的に解釈するとこれは英語の基礎知識もさることながら,社員の職務遂行能力変化する力を測ろうとしているのではないかと思います。

ビジネス環境が変化するスピードは加速する一方なわけで,その変化についてゆくに当たり(1)然るべき戦略を立て,(2)それに従い日々こなすべきことをこなし,(3)短期間で一定の成果を残す,という能力は非常に重要です。

ここで,しっかりした学習計画を立てた上で一定期間継続的に学習すれば比較的早期に成果の出るTOEICはそうした能力を測定する上で一定の役に立つのではないか,と思うわけです。

もちろん,飽く迄も英語力を測定する基準としてTOEICを利用している企業も存在するでしょう。

TOEICを受験させれば英語の基礎を身に付けている社員,もとい,最低限の知識すら身に付けておらず,とてもじゃないけれど海外絡みのプロジェクトの前線には立たせられない社員を炙り出すことができますから,その点で意義があります。

一方で,もし本当にこの試験を以て英語の得意な「グローバル人材」なるものを見つけ出そうとしているのであれば……基準設定者はあまり英語のできない人なのだろうと思います。

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2015/04/07

アンチTOEIC式学習法


このブログでは,アンチTOEICの立場から「どうすれば一般の学習者が短期間で効率的にTOEIC900点以上を獲得することができるのか」ということに関して様々なヒントを綴ってゆきたいと思います。

アンチTOEIC式のTOEIC学習法は極めてシンプルです。

  1. 中学・高校の学習範囲である基礎単語や英文法をしっかり押さえ,
  2. 必要に応じて語彙を補強しつつ,
  3. 公式問題集を徹底反復ししゃぶり尽くす

これだけなのです。

中学・高校と真面目に勉強してきた人は1のステップの大部分を省略できますし,大学受験等で頑張ってきた人は2のステップすらあまり時間を掛けなくてよいかもしれません。その場合,正しい方法で公式問題集を消化すれば短期間で高得点が狙えるでしょう。

もしかしたら拍子抜けさせてしまったかもしれません。「パート別問題集はどうした!」「リスニング対策本は!」「現状のレベルに応じて学習法を変えるべきだろう!」……非難の声が聴こえてきそうです。

そうした声には後々一つ一つお答えしてゆくとして,ここでは私の意見を述べておきましょう。

TOEICで900点以上を獲得するために揃えるべきは,高校レベルの良質な文法書1冊,TOEIC又はTOEFL用単語集1冊,『TOEICテスト 新公式問題集』を最新のものから必要なだけ,の3つです。

高校時代に使用していた文法書が本棚で眠っているのであればそれを起こして使用すればよいですし,ネット上の各種サービス(Ankiに代表される各種SRSだとかWeblioだとかVocabulary.comだとか)を利用すれば単語集の購入すら不要かもしれません。まあこの程度はケチらずに揃えた方がよいと思いますが……

猫も杓子も英語試験を受けるこのご時世に「アンチTOEIC」を掲げることは少なからぬ反発を招くことは承知していますが,考えあってのことです。これについても後々お話ししてゆくことにしましょう。

それでは,よろしくお願いします。

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