1. 敵を知る:たった3,714語憶えれば900点は取れる
様々なサイトでTOEIC攻略に必要な単語数は5,000だ10,000だと思い思いの数字が挙げられていますが,TOEICを主催しているETS (Educational Testing Service) 自身がちゃんと分析結果を出しているんですよね。
こういう公式見解は大事にしなくてはいけません。
(以下,"Utilizing the British National Corpus to Analyze TOEIC Tests: The Quantification of Vocabulary-Usage Levels and the Extraction of Characteristically Used Words"より引用)
5種のTOEIC公式問題に使用されている語彙の95%を理解するには、平均で、BNC HFWLに含まれている上位3,714語の知識が必要である。
(引用終わり)
上記の引用について簡単に補足説明をすると,まず95%という数字については,文章の内容理解には95%の単語(20語中19語)の知識が必要であるという考え方を採用しています。
つまり,95%わかれば残りの5%は文脈なんかから推測できるし問題も解けるでしょ,ということです。
次に「BNC HFWL」についてですが,BNCというのはThe British National Corpusの略で,簡単に言うと英語を代表する書き言葉や話し言葉の膨大なデータ集(コーパス)のことです。その数なんと1億語超。
で,そのうち頻出度が高い語をリスト化したものがBNC HFWL (High Frequency Word Listsかな?) です。
最後に「3,714」という数字についてですが,これはWord Family (以下WF) 基準での数え方であることに注意が必要です。
WF基準だと活用語や派生語もひっくるめて1語と数えます。
つまり,actもactiveもactingもactivityも(4語ではなく)1語とカウントするということですね。
語彙を語る際に人によって数字がばらけるのも,このWFで数えているかどうかという部分が大きいです。
いずれにせよ皆さんは「頻出の3,714WFのうち,未習得分を憶えればよい」のだと考えておいておください。
2. 3,714語をカバーする単語集を入手する
このブログでは『TOEFLテスト英単語 3,800』か『究極の英単語 SVL』のいずれかをお薦めしています(当然他にも有効な単語集はあるのでしょうが,私自身が使ったことがないものはご紹介できません)。
前者であればRank 1と2を,後者であればVol. 1と2をまずは完璧にし,更に取りこぼしをなくしたい人はその先に進みましょう。
中学・高校とそれなりに真面目に英語を勉強していた場合,『3800』のRank 1や『SVL』のVol. 1には既知の単語がかなりあるはずですから,厳選された3,714語から更に憶えるべき単語が絞られます。
TOEIC単語,恐るるに足らず,です。
3. 学習戦略を立てる
さて,肝心の憶え方ですが……正直細かな方法についてはあまり神経質に考える必要はないかな,と思っています。
というのも,TOEIC学習上暗記すべき単語は比較的平易かつ日常的なもので,(特に今までの勉強を頑張ってきた人にとっては)数もそこまで多くないため,多少の無理が効いてしまうのです。
よって,以下のような最低限のポイントを把握した上で,好みの方法で憶えればよいと思います。
復習が鍵であると知ること:あなたが特異な頭脳の持ち主であるなら話は別ですが,基本的に単語は復習して憶えるものです。
効率的な復習スケジュールを立てること:お馴染みの忘却曲線云々というあれです(参考:「エビングハウスの忘却曲線」に学ぶ、劇的!記憶力アップ術)。
継続できるやり方を採用すること:復習が大事なので,一夜漬け的な方法は✕。少なくとも2, 3ヶ月は継続できる方法が好ましいです。
綴りや意味だけでなく発音も確認すること:これは試験のリスニング上も大切なのはもちろんのこと,今後の英語学習上も極めて重要です。できれば発音記号を読めるようになりましょう。これについては別エントリーで。
4. 学習戦略のサンプルとヒント
とはいえ,「それでは各自好みの方法で勉強してください」ではあまりにも不親切なので,TOEIC単語暗記上のtipsをいくつかご紹介しておきます。
AnkiなどのSRSを活用する
自分で復習スケジュールを組むのが面倒だという人はAnkiやPDIC, SuperMemoなどのSRS (Spaced Repetition Software) を利用すると便利です。
SRSはCOCA60k消化やアンチバベルの党建設などの狂気の戦いに臨む際に素晴らしい力を発揮するのですが(何のことかわからない方は今は気になさらずに),TOEIC学習でもちゃんと役に立ちます。
普段の暗記作業&編集用はノートパソコンで,移動中の暗記作業はスマートフォンやタブレットで,などと使い分けると飛躍的に暗記効率が上がります。
辞書データなどを用いて一気に全単語を流し込むのもありですが,基本的にはその日の学習でつまづいた単語をコツコツ手作業で入力・復習してゆくとよいと思います。
付属音声を十二分に活用する(SVLの場合は別売り)
単語の発音を把握していれば,音を聴くだけでもかなりの復習になります。
スマートフォンやタブレットも操作できない移動中や運動中,単純作業中などは勉強した単語をおさらいしましょう。
SVLの場合は音声が別売りなので,下記の教材を用いるかiTunesで音声データをダウンロードするとよいです。
5. TOEIC公式問題集記載の単語の消化
TOEICの語彙対策は上記単語集のいずれかと公式問題集だけで行います。
公式問題集は一切の取りこぼしが無くなるよう徹底的に復習することになりますが,その際,未知の単語や誤った単語はSRSなりノートなりにしっかり記録してゆきます。
公式問題集周りの作業についてはまた別エントリーで触れることにしましょう。